KOMATSUの挑戦者たち
そのチャレンジが不可能を可能にする
第4章表面処理の暗闇
冷間鍛造の材料の形状は決まった。材料の熱処理法も固まった。ここまで来ればラストスパートをするのみと誰もが思ったその時、新たな問題は起こった。仕上げの表面処理。冷間鍛造で発生するバリを削り取るために表面バレル処理と呼ばれる処理を行ったが、バリが取れるばかりか部品表面までが粗く削れてしまった。これでは外観部品のデザイン要求をクリアできない。
営業の西村がまた動いた。インターネットや書籍を調べて、ありとあらゆるバレル処理と表面処理の方法を調査。光沢バレルが良いか、苛性処理が良いか、化研処理が良いか・・・と検討を重ね、テストをしてもらうために飛び込みで専門業者を当たった。振り返れば、限度を超えた恐いものなしの行動。だが当時は躊躇している間もなかった。次期モデルに間に合わせるまであと2ヶ月。西村、フル
回転で動いた。
ラッキーだったのはバイク好きなら一目置くフラッグシップモデルの部品であったことだ。飛び込み先の業者も、そのバイクにつく部品ならと採算度外視でテストを引き受けてくれた。恐いものなしの行動が幸いを呼んだ。