冷間鍛造は金属と対話する技術だ。フローラインと呼ばれる金属の流れを絶つことなくターゲットの形状を作り上げる。丸や四角の単純な形状なら問題はない。問題が起こるのは異形鍛造と呼ばれる複雑形状のケースだ。

某オートバイメーカーが製造する大型二輪車のアジャスターチェーン（※）。これまでアルミを切削して作っていた部品を冷間鍛造による一貫体制で作ろうとする試みが、これほど長い時間を要するとは、当初誰も気付かなかった。