KOMATSUの挑戦者たち
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そのチャレンジが不可能を可能にする
第5章潤滑処理の落とし穴
これで量産を前提とした工程ができあがった。1年以上におよぶ苦労がやっと報われる時がくる。その時、冷間鍛造の匠、中村の目が曇った。成形品のすべりが良くなるように表面に施す潤滑用の薬品が皮膜切れを起こして、できあがった部品にわずかなキズがついていた。
これまでの冷間鍛造であれば常温で薬品を処理すれば問題はなかった。が、今回は違った。鍛造担当の竹山、まず薬品を変えた。次に薬品を処理する槽の温度を上げてみた。状況は改善してきた。
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当初、簡単に思えた開発活動も開始から1年以上がたっていた。冷間鍛造は量産で100%の品質を保証できないと意味がない。1つの不良は1000個の不良を意味する厳しいものづくりの世界。この世界で常にパーフェクトを実現する、その背景に挑戦者の気風が息づく。