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KOMATSUの挑戦者たち

そのチャレンジが不可能を可能にする

第2章材料形状の壁

問題は前工程の材料の形状にあった。まず丸棒でやってみたが、ダメ。次に板材を使ってみたが、これもダメ。丸棒を削った材料でもNGになるし、丸型異形の材料を作って打ってみても、割れたり亀裂が入ったりしてものにならない。この開発の最初で最大の課題、それがこの前工程の材料形状だった。


冷間鍛造の匠、中村は半世紀近くにおよぶ知識を総動員して、最適な材料形状を探った。頭に浮かんだ材料形状は100個以上。そのうちの数十個を現実に作って、5~6個冷鍛で打ってみる。できたものの寸法を測り、金属の流れであるフローラインを調べた。週に1度は、製造も巻き込んで、半日がかりのトライ。これを生産技術の竹山とともに黙々とこなしていった。

満足のいく材料形状にたどりつくまで約半年。当初、計画していた次期モデルでの採用は見送りとなり、メンバーは完成度を高めることに全力を集中していった。途中経過を顧客企業に逐一報告することで、顧客側の期待もまた高まっていた。